露、北方領土に新師団 国防相表明 強硬に対日牽制へ |
ロシアの戦術単位は旅団であると言うが、今回の新師団創設は過重な負担に感じる。
露、北方領土に新師団 国防相表明 強硬に対日牽制へ
http://www.sankei.com/world/news/170223/wor1702230004-n1.html
【モスクワ=遠藤良介、黒川信雄】ロシアのショイグ国防相は22日、下院で演説し、クリール諸島(北方領土と千島列島)での師団創設を年内に行うと述べた。ロシアは北方領土の国後島と択捉島に計3500人の部隊を駐留させているとされ、その増強を念頭に置いている可能性が高い。北方領土での共同経済活動に向けた協議が日露間で行われている中、領土問題に関する強硬姿勢を示して日本を牽制(けんせい)した形だ。
ショイグ氏は演説で、西部に3師団、クリール諸島に1師団を年内に創設すると発言した。通常の師団は約1万人で構成されるため、北方領土に配置されている第18機関銃・砲兵師団の拡充や新師団の配備を意図しているとみられる。ロシアは海軍にも師団の用語を用いるため、千島列島中部のマトゥア島(松輪島)で計画中の海軍基地建設を指している可能性もある。
上月豊久・駐ロシア大使はショイグ氏の発言について、「北方領土に関するわが国の基本的な立場と相いれない」と22日の記者会見で述べた。
北方領土をめぐっては昨年11月、ロシア軍が択捉島と国後島に地対艦ミサイルの「バル」と「バスチオン」を配備したことが明らかになった。両島では新駐屯地の建設も急ピッチで進んでいる。オホーツク海には米国本土を射程に収める弾道ミサイル搭載原子力潜水艦(SSBN)が常駐しており、北方領土での海峡防衛を強化している形だ。
ショイグ国防相が2012年に就任して以降、ロシアは局地戦を想定した旅団重視の軍編成から、大規模な師団を主軸とする「ソ連型」へと軍編成の思想を逆行させている。北大西洋条約機構(NATO)への対抗を目的に、黒海や北極海などの沿岸部全域で軍備増強が進められている。