2013年 11月 05日
米でアフガン復興に悲観論 治安悪化、巨額の費用 完全撤退促す声も |
米でアフガン復興に悲観論 治安悪化、巨額の費用 完全撤退促す声も
産経新聞 11月5日(火)7時55分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131105-00000083-san-m_est
【ワシントン=小雲規生】2014年末までにアフガニスタンから戦闘部隊を撤退させる米国で、アフガニスタン復興への悲観論が広がっている。戦闘部隊撤退後は治安悪化が予想されるうえ、復興にかかる巨額の費用の捻出に厳しい目が向けられているからだ。米国は15年以降も1万人前後の部隊の駐留を検討しているが、識者からは完全撤退を促す声も出ている。ただ、テロとの戦いなどにおいてアフガンは重要な意味を持っており、オバマ政権は難しい判断を迫られることになる。
米政府は2002会計年度以降、合計約970億ドル(9兆5千億円)を割いて、アフガン治安部隊の創設やダム、高速道路の建設などの復興事業を進めてきた。しかし戦闘部隊の規模縮小とともに治安を確保できる地域が縮小。米政府のアフガンに関する監査機関は10月、戦闘部隊撤退後の安全を考えれば、国土の約80%で事業の監督ができなくなるとの試算を公表した。
米議会では、汚職体質が指摘されるアフガンで米国民の巨額の血税が浪費されることへの懸念が強い。上院軍事委員会のマカスキル議員(民主)は米ワシントン・ポスト紙に対し、戦闘部隊撤退後に「不幸な結末に至らない方がおかしい」と話した。
またオバマ政権はアフガニスタンと駐留米兵の地位に関する「安全保障協定」の締結を前提に、アフガン治安部隊の支援などを目的とした8千~1万2千人の部隊の駐留を検討。このための費用やさらなる復興事業には年間140億~200億ドルかかるともみられており、今後の議会承認には曲折も予想される。
米ジョージ・ワシントン大学のスティーブン・ビドル教授は、これだけの資金をかけても治安回復の見通しは暗く、血税が無駄遣いされる公算が大きいことなどを踏まえ、「米国はアフガンから完全撤退すべきだ」と指摘する。
しかし米国にとって、国際テロ組織アルカーイダやイスラム原理主義勢力タリバンが拠点をもつアフガニスタンの治安回復の重要性は高い。また隣国パキスタンとの関係強化を狙う中国を牽制(けんせい)する意味でも「アフガニスタンへの影響力を維持すべきだ」(政府高官)との声もある。
最終更新:11月5日(火)7時55分
産経新聞
by hinokawaz
| 2013-11-05 08:21
| 政治
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